風景描写が秀逸!夏の暑い日に読みたい吉田修一【さよなら渓谷】

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小さい頃から本が大好きで、読んだ本は100冊以上!
特に好きなミステリ小説の中から、stay home中におすすめの本を厳選しました☆

タイトル:さよなら渓谷
著者:吉田修一
発行年:2008年
所要時間:1日で読める本

吉田修一とは?

1968年長崎生まれの小説家。法政大学経営学部卒業後、1997年に文学界新人賞を受賞しデビュー。
これまで芥川龍之介賞・山本周五郎賞など国内の文学賞を数多く受賞している。
作品の多くは映画化されており、映画作品も賞を受賞するなど高評価を得ている。
今回紹介する『さよなら渓谷』も2013年に映画化され、第35回モスクワ国際映画祭に出品され審査員特別賞を受賞した。
また、自身が好きな台湾を舞台にした小説も発表しており、台湾でも人気がある。

私が大学在学中に『横道世之介』が映画化され、通っていた大学でロケが行われていました!懐かしい^^

吉田修一『さよなら渓谷』のあらすじ

「水の郷住宅」は、都心から気軽に来れる景勝地”桂川渓谷”の近くにある、古びた市営団地だ。
俊介とかなこが住む家の隣に、里美と4歳になる萌という男児が3か月前に引っ越して来た。
しかし2週間前、萌は桂川渓谷で遺体となって見つかり、母親の里美が萌の殺人容疑で逮捕される。
里美の逮捕で一件落着かと思われたが、取り調べで衝撃の告発があり、疑惑は暗い過去のある俊介に向けられる。

俊介とかなこは何者なのか、美しい渓谷の風景とは対照的に、2人の想像を超えた秘密が隠されていた。

おすすめポイント!映像で見ているかのような風景描写

桂川渓谷の風景、夏のグランド、エアコンや扇風機の動き、『さよなら渓谷』には夏の描写があふれています。
特に真夏に滴る汗の描写がリアルで、とても瑞々しく感じました。
例えば、記者の渡辺が俊介の起こした事件の資料を読む箇所では、滴る汗が強く印象に残ります。

よほど集中していたのか、額に浮かんだ汗にも気づかず、記事から顔を上げたとたんに、眉毛を伝った汗が一粒、紙面に落ちた。
落ちた汗はすぐに紙面に染み込んだ。汗染みの箇所に書かれた「特に、景子さんが面白がって、傷に触れたりしていました」という文章が滲む。

『さよなら渓谷』は映像化したら綺麗だろうな~!と本編を読みながらワクワクしてきました♪
もし本と映画どちらを先に見るか迷った場合は、先に本でイメージを膨らませてから映画を見ることをおすすめします!

読みながら考えたい”人は罪とどう向きあうべきか”

『さよなら渓谷』は、里美と萌の事件から始まります。
”シングルマザーが4歳になったばかりの息子を手にかけた真相に迫る”というお話しを想像していましたが、実際は俊介とかなこの過去の事件が焦点となっています。
その事件の加害者は大学生の俊介と仲間、被害者は高校生のかなこです。
俊介は前科がついたものの、良い会社に入り出世していきます。反対にかなこはどこに行っても事件の影がつきまとい、仕事も結婚も上手くいかず、全て受け入れてくれたと思った旦那さんにも暴力をふるわれてしまいます。
事件のせいでかなこが惨めな目にあっていることを知った俊介は、残りの人生をかなこへの贖罪に使おうと決心し、”一緒に不幸せになる”という約束の元2人で暮らし始めます。

もし自分が俊介・かなこの立場だったら、どうするか?
いつまでも事件を引きずり振り回されるのか、忘れて終わったこととして過ごすのか。
痛ましい事件の加害者・被害者の心の葛藤を感じながら、自分だったらどう思うか想像しながら読むと理解が深まると思うのでおススメです。

もう1つ読みながら考えたいのが、人は不幸を目指して生きることが可能かどうか
俊介とかなこは”一緒に不幸せになる”と約束して生活していましたが、本当に出来るのでしょうか??
ご飯を食べる、お風呂に入る、といったルーティンの中にも幸せって隠れています。平和な世界に家があって、生きるのに困らないレベルの生活ができたら、否応なしに幸せ感じちゃいますよね^^
”不幸せになろう”と決めること自体、とても違和感があるので、人って元々幸せにしかなれない生き物なのかな?という考えに至りました(笑)

皆さんは不幸せになるとしたら、何をしますか?
結構面白いテーマだと思ったので、ぜひ考えてみてください♪

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